[日記] 英語翻訳の難しさ

MIT がプログラミング入門コースで、使用言語を Scheme から Python に変えたそうだ。

というのをhttp://d.hatena.ne.jp/leque/20090326/p1で知った。

最近英語の記事を翻訳したばかりで、その翻訳した記事内にもニュアンスはわかるんだけどうまく日本語に置き換えられない、というものがいくつもあったが、これもそのひとつだと思う。

Costanza asked Sussman why MIT had switched away from Scheme for their introductory programming course, 6.001. This was a gem.

Why MIT switched from Scheme to Python | Wisdom and Wonder

素直に訳すと:

コスタンザ氏はサッスマン氏に、何故 MIT はプログラミング入門コース 6.001 で Scheme を使うのをやめたかをたずねた。これは宝石だった。

となり、「This was a gem.」がどうしても文脈に合う日本語に訳せない。

おそらく「これはとても良い質問だった。」という意味なんだと思う。自分で読む分にはこのニュアンスで問題ない。だけど、人に見せる訳文で「This was a gem = これはとても良い質問だった」という風に自信を持って置き換えることができない。

翻訳において、原文にどこまで忠実であるべきで、どこまで意訳してよいかのさじ加減が難しく、僕の翻訳は見るからに「翻訳文」という感じの自然でない言い回しの日本語になってしまう。

英文が読めるのと、それを人に見せられるように翻訳するのでは、求められるレベルがものすごく違うと感じさせられた。しかし、日本語に翻訳して公開するということは、それはすばらしいことだと思う。

肝心の原文の内容は、SchemeSICP を使わずに Python で行う、ということになったんだけど、僕は SchemeSICP でいいじゃん、と思ってしまう。なんか Scheme の権威のようなものがひとつ失われてしまった気がして、なんだかさびしい気分がする。