初めてのプログラミング言語

一番最初にプログラミングをしたのは大学 3 年、初めて PC を買ったとき。

その後、いろいろ教えてくれる友人に勧められて草の根 BBS に入会した。友人は BBS のためだけに PC 設備を維持していたのが印象的だった。僕の買ったばかりの PC は Pentium 75MHz という高性能、一方彼のは 386DX かそこらだけど、モデムは 14400bps と見合わぬ性能だったのも印象的だった。

僕は BBS にはあまり興味はなかったけど、唯一巡回するのがプログラムフォーラム。僕の周りにはパソコン(あえて PC ではなくパソコン)にとても詳しい人は何人かいたけど、皆、プログラムには興味はないらしく、それ以外の質問なら、機関銃のように説明してくれるけど、例えば「config.sys ってなんですか?」と言おうものなら、「そんなことも知らないのぉ〜ぅ?」から始まり、説明では飽き足らず、カスタマイズする方法、そのためのフリーソフトの使い方、ついでに空いている隙間メモリに常駐するユーティリティ、その便利さとすごさ、自分はいつから使っているとか、そんなことまで教えて(?)くれるんだけど、プログラム関係の質問「どんなプログラム言語を勉強するのがいいんですかね?」なんて聞いても「えー?知らない」で済まされてしまう。ガンダムには詳しいけどエヴァはまったく興味ない、みたいな感じか?

そんなわけで、プログラムの質問は BBS で行うしか選択肢がなかった。今にして思えば、情報学部の先生に聞く、という手があったはずなのに、何故それをしなかったのか疑問。ま、いいとしよう。BBS では以下のような質問をした。

「初めてのプログラム言語は、何がよいですか?」

この質問に対して、いろいろな回答があったけど、最初に勉強するプログラミング言語を決定する決め手になったのが以下の回答。

VC++VB の 100 倍難しい。JavaVC++ の 100 倍難しい」

運よく Java というキーワードをこの時知ることができた。実際に Java を勉強し始めるのは数年後だけど、数年の間「VC++ の 100 倍難しい」というインパクトがあって、記憶に留まっていたのだと思う。

ただ、当時はプログラムとバッチファイルの違いもよくわからなかったので、VB の 10000 倍難しい Java にいきなり挑戦するはずもなく、VB を勉強することにした。

VBパソコンショップで学割で買った。アカデミックパックというやつだ。バージョンは 4.0。1 万円。隣に VC++ 4.0 も、同じくアカデミックパックで 1 万円で売っていたけど、迷わず VB。100 倍簡単だからね。

VB で最初に作ろうとしたのは、仮想デスクトップアプリ。マウスを画面の端に持っていくと、仮想デスクトップに移動できる、というもの。最初に作ろうとするアプリにしては、ハードルが高すぎるんだけど、僕は Microsoft の作っている VB なら、Windows 上でどんなものでも作れると思っていたので、とりあえず文法、練習プログラム、本のプログラムをそのまま動かす、改造してみる、などなどして勉強していた。

本格的に作れるようになってきたので、仮想デスクトップアプリの制作に取り掛かったんだけど、最初の段階でつまづいてしまう。マウスイベントの受け取り方がわからない。フォーム上なら簡単なんだけど、僕の作ろうとしているアプリはフォームがない。どうすればいいんだ?

BBS で聞いてみた。

「・・・のようなアプリを VB で作りたいんですけど、マウスイベントをどうやって取ればいいんでしょうか?」

返ってきた回答はあまりにも無慈悲だった。

VB じゃ無理」

僕もうすうす感じていた。サンプルプログラムは、例外なくすべてフォームを使用して、ボタンなんかが並んでいる。「もしかすると、VB はこんなアプリしか作れないんじゃ・・・?」

予感は的中。僕の最初の目標だった仮想デスクトップアプリは、構想のまま世に出ることはなかったのでした。

ただ、この経験を通じて、よかったと思えることがある。

  • プログラミング言語によって、できること、できないことがあるというのを、身をもって体験できた
  • もし、VB で最初に作りたいアプリが作れてしまっていたら、僕は VB プログラマになっていて、今とは違う人生を送っていたかも知れない
  • VB のイロハを習得できた

これは僕の大学時代の数少ない遺産のひとつだ。