僕のケータイと白色家電の選び方の違い

ちょっと昔の話になる。

中国に来て、ケータイを購入する際に、日本語のわかる中国人女性に付き合ってもらった、というより付いてきた。

僕は時間をかけて選ぶつもりだったので断りたかったんだけど、時間がかかっても問題ない、ということで、じゃあそれなら、という運びになった。

ここでいう「時間をかけて選ぶ」「時間がかかっても問題ない」という「時間」は、どれぐらいだと思いますか?

少なくともその女性は 1 時間以内だろうと思っていたのだと思う。

とんでもない。これから数年、毎日使う、しかも高価な機械を、事前の調査もなく 1 時間で選べるはずがない。

僕は一通りメモしながら全部を見て回って、数機種に絞り込んで、スペックを比較し始めた頃、おそらく 2
時間が経過していたと思う。女性が不満を言い出した。時間がかかりすぎだと。

僕は開始 30 分ぐらいですぐに彼女が退屈していることは察知していた。その後はケータイに関する相談をしても「どれでも一緒じゃない?」とやる気なし。何のための付き添いなのか。

これから本当の検討をしなきゃならないのに、ここで適当に選ぶわけにはいかず、とはいえ不満が爆発しそうな彼女を放っておくこともできず、日を改めて購入することにした。


今日ふと思ったのが、これがケータイじゃなくて白色家電だった場合、どうだろうか。

例えば冷蔵庫。

ケータイよりはるかに高価で、毎日使い、使用期間もケータイよりはるかに長いはずなんだけど、たぶん僕は「どれでも一緒」ということで 1 時間以内には適当に選んで買ってしまうだろう。そして、適当に選んだにもかかわらず、特に不満もなく毎日数年使い続けるだろう。

こういうことだ。彼女にとって、ケータイは白色家電でしかなく、高価で毎日数年使うものであっても、「どれでも一緒」なわけだ。

実際、妻と冷蔵庫を買いに行って、2 時間かかってようやく数機種に絞り込んで、これからスペックを比較しようとし始めたら、さすがに僕も「どれでも一緒だ!」とキレ気味に言うだろう。

うん、ひとつ考え方の幅が広がった気がする。