Apple App Store と Google Play Store の収益性について思うこと

iOS ユーザは Android ユーザに比べ、3 倍お金を落としてくれるという話らしい。

Amazon Appstore apps earn three times more than Google Play apps; Apple still No. 1 – BGR

グラフを見ると 4 倍なのだが、説明で「three times more revenue」と言っているので、それ以外の要素もあるのだろう。

ここから読み取れる事実や推測:

  • iOS ユーザはお金持ち(比べれば確かにそうかも)
  • iOS ユーザは金払いがよい(そうですね)
  • iOS アプリは品質がよい(比べれば確かにそうかも)
  • iOS は良いエコシステムを持っている(確かに)
  • iOS アプリ開発は簡単(何を以って簡単かによるが、確かにそうかも)
  • iOS アプリは割られない(比べれば)

iOS ユーザは iTuens で楽曲を有償で購入してきた層であり、デジタルコンテンツに対する対価の支払いという点でリテラシーが高い。また、デジタルコンテンツ購入の経験値が高いとも言える。

一方の Android ユーザは、そうしたデジタルコンテンツ購入経験のない(または少ない)層であり*1、たとえ 100 円のコンテンツでも購入をためらう。

100 円払うか払わないか、という葛藤と戦うユーザ体験を、Apple は iTuens で大昔前に提供済みである。Google はこれを今行なっているわけだ。収益率に開きがあるのも当然だろう。なお、Amazon の収益率も高いが、これも Amazon のユーザはコンテンツに対する対価の支払いに慣れているからだ。

App Store の場合はコンビニで決済ができるのもポイントだ。一方の Play Store は支払方法がわからないユーザが方法をコメントで聞いているぐらいだ。クレジットカードが必要なので、学生さんにはたとえ 100 円のコンテンツでも決済が難しいという事情もある。

iOS のデバイスは、基本的にスペックが同じであるため、互換性を考慮してアプリを開発する必要がない。Android は、多種多様な機種(数千機種)と異なる OS のバージョンが開発者を苦しめる。

いったんそのプラットフォームでコンテンツを購入すると、そのプラットフォームに投資したコンテンツが惜しいという理由で、そのプラットフォームから離れられなくなる(という心理がある)。Apple はこの辺を実にうまく利用してエコシステムを構築していると思う。

Android で欲しいアプリがあったとしよう。それが 600 円だったとする。まぁ、値段に見合うアプリだから購入しよう、と思って何気なくググったら、アプリを割る方法が見つかってしまった。さあ、どうする。買うの?割っちゃうの?・・・、という問題が Android にはある(らしい)。

App Store は、楽曲を販売していた iTuens Store をベースに作られていて、最初から決済システムを含め完成していた。Play Store は一から作ったオンラインストアで、最初は決済システムがない状態で無料アプリしか登録できなかった。基本有料で無料アプリも提供する App Store と、基本無料で有料アプリも提供する Play Store。この差は大きい。

Play Store では映画を扱っているが、少々割高に思える。500 円出して、小さな画面で見るぐらいなら、TSUTAYA で DVD を借りて大画面で見るほうが値段も期限も快適さも違ってくる。Play Store は旧作は 300 円だが、TSUTAYA は 100 円だ。Play Store はもう少し勉強してもらいたい。

Android Market から Play Store へ変わる際のキャンペーンセールとか、10 億ダウンロードキャンペーンでアプリ 10 円セールとか、そういうセールはもっとやってもらいたい。そのセールがきっかけで、Google Wallet に登録するユーザは少なくないと思う。10 円ならうまい棒と同じなので、買ってもいいと思うと思う。買って結局使わなくても、うまい棒だし。

なお、自分のアプリを 10 円で売りたいと思っても、最低価格が 99 円に設定されているのでできない。30% ピンハネする側からすると、3 円で決算手続きはやってられないのだろう。

ただ、Play Store でアプリが売れないかというと全くそんなことはなく、売れているアプリはものすごく売れている。個人的に思うのは、パチスロのアプリが 1200 円とか、スマホアプリとしてはかなり高額にも関わらずバカ売れしていること。スロッター感覚だと、懐かしいとか儲けさせてもらった機種とかそういう思い入れで、1200 円はメダルで 60 枚という換算で大したことはない、という感覚で買うんだろうか。いやはや。

結局何が言いたいかというと、App Store でも Play Store でも、売れるアプリは売れるし、売れないアプリは売れないと言うことだ。良いアプリやニーズのあるアプリを作れば、Play Store でも売れるのだ。

*1:主観です